ドイツのパティシエ事情・ドイツでパティシエになる!

ausbildung ドイツのパティシエ事情
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ドイツでパティシエになるためには、基本的に3年間の修行期間が必要になります。学校と職場の両方に通いながら、学ぶことができるドイツの職業訓練制度・Ausbildung(アウスビルドゥング)、その内容について書いていきたいと思います。

<結論 ドイツでパティシエになるためには>
3年間学校と職場に通い、試験に合格すればプロになれる

ドイツの職業訓練制度・アウスビルドゥング

日本では専門学校に通い免許を取得してプロと名乗れると思いますが、ドイツではこのAusbildung(アオスビルドゥング)を修了することで、プロになることができます。

ドイツでの菓子職人・Konditor(コンディトア)になるためには基本3年間の修行期間が必要になります。

この期間はドイツの高等学校卒業資格であるAbitur(アビトゥア)を取得している場合、あるいはパティシエに似た職業の職業訓練をすでに終了している場合(例えば調理師やパン職人の修行をすでに終了している場合)は2年間の短縮。

もしくは職場と学校での成績がいい場合は2年半に、短縮することが可能です。

職場によってはあまり短縮を好まないので、始める前に交渉しておくことが大事です!

この期間は、週に何日か学校に通い、そのほかの日には職場で働くという日々を過ごすことになります。

僕の場合は1年目は週2回学校に通って、週3回働き、2年目と3年目は週1回だけ学校、そのほかの日は働くというローテーションでした。これは州にとって違い、例えば1カ月学校だけに通い、3カ月働いて、また1カ月学校に通うというパターンもあるようです。

パティシエとコンディトアの違いに関してはこちらをご覧ください。

学校で習うこと

科目はもちろん、パティシエの職業にかかわることが多いですが、基本的な科目、例えばドイツ語(日本で言う国語)、数学、英語、経済学、宗教学、体育などもあります。とはいってもそれほど難しいレベルのことを習うわけではなく、あくまでも一般教養の範囲です。

ほかにも調理実習や、衛生学、栄養学などの勉強も学校で習いました。もちろん、全部ドイツ語での授業になるので、もしドイツでパティシエを目指す場合は、ある程度のドイツ語力は必要になってきます。

内容は普通に勉強してきた人なら、問題なく好成績をとれるレベルです。とはいえ、当時は僕もドイツ語がうまくなかったので、苦戦した思い出があります。

職場での仕事

職場では通常業務をこなしながら、技術を習っていきます。アウスビルドゥングを行うことのできる職場には、マイスターと言われる職人を育てることのできる人がいるので、その人から教えてもらいながら業務をこなしていきます。

アウスビルドゥングには習得しなければいけない技術のガイドラインが定められています。

しかし現状として、その全てを学ぶことのできる職場は数少ないと思います。足りない技術は学校で学んだり、ほかに学ぶことのできる機会が設けられています。

ちなみに訓練生は毎週行った業務や学んだことをノートにまとめて、最後に提出しなければなりません。これは最終試験を受けるための必須条件なのでとても大切です!

このアウスビルドゥング中には給料が発生します。残念ながら生活できるレベルのものではありません。平均的に1年目で585€、2年目で690€、3年目で790€くらいです。ここから税金や健康保険などが引かれるので、手元に残るのはさらに低くなります…この金額は州によっても異なります。

とはいえこの金額も昔よりは高くなっているようで、僕の1年目は確か手元に300€残らなかったです…

仕事時間は職場によって違います。例えばパン屋さんで働く場合は夜勤が多いですね。僕も昔は22時から6時まで仕事をしていました。ほかにも3時から仕事を始めていたという同期もいました。かなり体力的にきついですが、夜勤手当が出る場合が多く、懐が少し潤います。

カフェやホテル、パティスリーなどは5時や6時から始める場合が多いです。これも職場によって異なります。ホテルの場合はもっと遅く、午後から夜に働くことも考えられますね。

この職種は、ドイツでは珍しい、日曜や祝日の勤務が認められている職業なので、休日は一定ではないことが多いです。今でも、週6日働かなくてはいけないところも多いです。祝日手当が出るかも職場によって異なります。

ドイツでパティシエを目指すときの注意点

基本的にアウスビルドゥングをするためには、自分で職場に履歴書などを送り、申し込みます。面接と研修を経て、採用されてアウスビルドゥングを始めることができます。

ちなみに多くの場合、スタートする時期は8月です。これは新学期が始まるのが8月だからです。2月に始める場合もありますが、あまり数は多くないともいます。

通う学校は、職場が申し込んでくれるので、自分で探す必要はありません。ですが職場選びには注意しましょう。

ドイツの多くのパン屋さん、特に大手チェーンのところが多いですが、インスタントミックスを使用しているところが多いです。

そうなるとやはり、例えば毎日繊細なものを作るパティスリーで働いている人よりも、技術力と知識が劣ってしまいます。そして残念なことに、ドイツではそういう繊細なものを作るところが少ないです。これは当時、僕がずっと残念に思っていたことでした。

なので職場選びには気を付けましょう!できればたくさん応募して、たくさん研修を積み、内部情報を自分の目で見るのが一番いいと思います。

ドイツでパティシエになる利点

大きな利点はやはり、パティシエになるためのコストが低いことだと思います。日本で専門学校に通うのはお金がかかります。ドイツでは給料は低いですが支払われて、経験を積みながらプロになることができます。かかるコストは基本的には生活費や家賃だけ、です。

ドイツで取得したプロ資格はEU内で使用することができます。当時、同期にもスイス、オーストリア、イギリス、フランスなどに渡った人たちもいました。ヨーロッパで研鑽を積みたいという方にも、ドイツでプロになるのはオススメだと思います。

僕も昔スイスやオーストリアのホテルで働く機会がありましたが、ビザの関係で諦めた経験があります。

まとめ

ちなみに日本ですでに調理師免許を取得している場合は、アウスビルドゥングをやる必要性はないです。今回の記事はあくまで、ドイツでパティシエのプロになりたい人向けに書きました。参考にしていただけると嬉しいです。

僕にとってはパティシエという職業は本当に楽しく、やりがいのある仕事です。とはいえやはりネガティブな面もたくさんあるので、これからパティシエになろうという方は、様々な点を考慮しつつも、ぜひ自分の夢をかなえて下さいね!

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