🕯️【ドイツの冬支度】聖マルチン祭って何？可愛いランタン行列と心温まる伝統菓子レシピ

Laterne, Laterne, Sonnen, Mond und Sterne…♪

これは、聖マルティン祭で有名な歌のサビの部分ですね。

昔デュッセルドルフで暮らしていた頃、小学生の時に自分で作ったランタンを持って、11月11日のマルチン祭で友達と歌った記憶があります。

聖マルチン祭は、日本ではあまり馴染みのない宗教的な行事ですが、ドイツでは毎年11月11日に大切に行われています。

今回はこの行事の歴史や背景、行事の内容を、豆知識として深掘りして紹介していきます。

聖マルティン祭の5つの豆知識

聖マルチン祭は毎年11月11日に行われます。地方差はありますが、基本的には子どもたちが主役の行事です。

当日前に子供たちは、自分たちでLaterne(ラテルネ)と呼ばれるランタンを作ります。これは学校の図工の授業で作ることも多いそうです。

当日の夜、暗くなってからランタンに灯りをともし、歌を歌いながら行列を作って歩きます。行列の先頭には、しばしば馬に乗り、司教の格好をした人物（聖マルティン役）がいるのが特徴です。

行列がない地域では、子どもたちがグループでお店や家を訪ね、歌を歌ったり祝福の言葉を述べたりして、お菓子やパンをもらいます。よく似ていますが、アメリカのハロウィーンとは起源も意味合いも全く異なる行事です。

僕が小学生だったころやっていたのは、友達と一緒に回りました。どのお店に行けば美味しいお菓子もらえるかな、なんて話してた記憶があります。懐かしいですね。

お祭りの名前にもなっているマルティンは、今から約1600年前、西暦316年に現在のハンガリーにあたるローマ帝国の街で生まれた実在の人物です。

彼はローマ帝国の軍人として働いていましたが、後にキリスト教の司祭になります。そのきっかけとなったエピソードが非常に有名です。

ある寒い冬の日、マルティンは寒さに震える乞食と出会います。彼は持ち合わせが何もなかったため、着ていた軍服のマントを剣で半分に切り、乞食に与えました。

その夜、マルティンの夢にイエス・キリストが現れ、彼の慈悲深い行動を称賛します。これがきっかけで、マルティンは司祭を目指すことになります。これがマルティン祭の起源ともなった有名なエピソードです。

その後、彼は現在のフランスのトゥールで司祭として働き、数多くの貧しい人々を助け、その慈悲深い行いにより聖人とされました。

この日は、諸説ありますが、聖人マルティンの命日、あるいはお葬式が行われた日だったと言われています（西暦397年に81歳で死去）。

彼の行いを記念し、この日が「聖マルティンの日」と定められました。

これにもいくつかの説があります。

昔は焚き木が用いられていたようですが、現在では手作りのランタンが一般的です。学校の図工の時間に、色画用紙やセロファン紙などを使って、子どもたちが思い思いのデザインでカラフルなランタンを作ります。

マルチン祭の時期になると、パン屋さんでは人の形をしたパン**「ベックマン（Weckmann）」**が一斉に売られ始めます。

ベックマン（Weckmann）：ふわふわの白パンで、比較的日本人にも食べやすいパンです。パンが持っているパイプのようなものは、司教の持つ杖を表していると言われています。（パイプがない場合もあります）
ガチョウ料理（Martinsgans）：ガチョウ（Goose）が食べられることも多いです。これは、マルティンが司教への任命から逃れるためにガチョウ小屋に身を隠したところ、ガチョウが騒いで見つかってしまった、というエピソードに由来する習慣です。