ドイツでパン作りやお菓子作りをしてみたい!そう思ってスーパーの製パンコーナーに行くと、多くの方が一度は「えっ、どれを選べばいいの…?」と立ち尽くしてしまいます。
日本の「薄力粉」「強力粉」という表示の代わりに、袋に大きく書かれているのは「405」や「550」といった謎の番号。
ドイツは街中にパン屋さんが溢れ、3,000種類以上のパンが存在するまさにパンの大国です。それだけに、小麦粉の歴史も古く、種類も数えきれないほど奥深い世界が広がっています。

ドイツには3,000種類以上のパンが存在すると言われています。
代表的なパンについては、こちらの記事と動画で詳しく紹介しています。
そこで、ドイツの粉の仕組みを分かりやすく紐解く「ドイツ小麦粉物語」をお届けすることにしました!第1回目は、基本となる【番号(Type)の秘密】についてお話しします。
「ドイツの粉の番号って、一体何を表しているの?」
「日本のレシピの通りに作りたいときは、どれを買えば失敗しない?」
そんな疑問や戸惑いをお持ちの方もご安心ください。この番号の仕組みさえ分かれば、ちゃんとパンやお菓子が作れるようになりますよ。
ドイツ小麦粉物語のバックナンバーはこちらです!
▶ [ドイツ小麦粉物語シリーズ一覧はこちら]
この記事では、
- スーパーで見かける「謎の番号」の正体
- 日本のレシピを再現するための、番号ごとの使い分け一覧表
- 知っておきたい、番号と「栄養素(ミネラル)」の深い関係
を詳しく解説します。ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
※本ページはプロモーションが含まれています。
知っておきたい、日本とドイツの「パン文化」の違い
ドイツへ旅行したり滞在したことがある方はよくご存知かと思いますが、ドイツのパンは日本のパンと比べて、ズッシリと重く、噛みごたえがあって、特にライ麦パンは心地よい酸味があるのが特徴です。
ふわふわした日本の食パンや、メロンパンのような繊細な菓子パン文化とは、目指す美味しさの方向性が少し違っているんですね。

どちらの文化にもそれぞれの素晴らしい魅力があります。
ドイツのパンはオーガニックの原材料にこだわりながらもお手頃で、毎日食べても飽きない穀物の力強い旨みと栄養が詰まっています。
ただ、ここで一つだけ注意したいポイントがあります。
「ドイツの小麦粉を使って、そのまま日本のレシピ通りにパンを焼くと、食感や味が変わって失敗してしまうことがある」ということです。
国が変われば、材料の性質も変わるもの。まずはドイツの小麦粉の「ルール」を知ることから始めてみましょう!
💡 ドイツで日本風のパン・お菓子を作るなら!
結論から言うと、ドイツのスーパーで粉を買うときは「405番」または「550番」を選ぶのがオススメです。その理由をここから詳しく解説しますね。
小麦粉の袋に書かれた「番号」の正体とは?

ドイツの小麦粉に書かれている「405」や「550」という数字。これは簡単に言うと、その粉に含まれている「ミネラル(灰分)の量」を表しています。
製粉の世界では、小麦粉がどれくらいミネラルを含んでいるかを調べるために、小麦粉を約900度の高温で焼き尽くす検査を行います。その際、脂肪分やビタミンなどの栄養素は燃え尽きてしまいますが、ミネラルだけは燃えずに「灰(灰分)」として残るのです。
例えば……
製粉された小麦粉100kgを高温で焼き尽くしたとき、およそ405gのミネラルが灰として残るもの…これが「405番(Type405)」に分類されます。
つまり、番号は「粉100kgあたりに何グラムのミネラルが含まれているか」の基準値なんですね。このミネラルの量によって、焼き上がりの食感や風味が大きく変わってきます。
【一覧表】スーパーで買える3つの番号とおすすめの使い方
ドイツの一般的なスーパー(REWEやEDEKAなど)の棚には、主に以下の3種類の小麦粉(Weizenmehl)が並んでいます。おうちで作るメニューに合わせて使い分けてみてくださいね。
| 番号(Type) | 日本のイメージ | 主な使用用途・おすすめメニュー |
|---|---|---|
| 405 | 薄力粉に近い | ケーキ、クッキー、スコーン、マフィンなどの焼き菓子 |
| 550 | 中力粉に近い | 日本風のふんわりしたパン、クロワッサン、ピザ、パイ生地 |
| 1050 | 強力粉に近い | ズッシリしたハード系のパン、食事パンのブレンド用 |
※この記事では「小麦(Weizen)」について説明しています。ライ麦やスペルト小麦(ディンケル)の番号については、シリーズの別の記事でじっくりご紹介しますね!

motomone bakingの普段のパン・お菓子作りのレシピでも、日本の皆さんが作りやすい柔らかさを出すために、405番の薄力粉や550番の中力粉をセレクトすることがとても多いです。
番号の大きさが表す「栄養素(ミネラル)」の秘密
製粉するときに「小麦の粒の、どの部分まで粉にしているか」が、この番号の違いに直結しています。
出典元:Das Konditorbuch in Lernfeldern
小麦の粒は、私たちが普段よく見る白い「中心部分」と、それを包む外側の「皮(Schale)」に分かれています。実は、体に嬉しい栄養素であるミネラルは、この「中心と皮の間」に一番多く含まれていると言われています。
- 405番に近いほど:
- 皮をきれいに取り除き、中心部だけを細かく砕いているため、ミネラルが少なく真っ白で繊細な粉になります。
- 1050番に近いほど:
- 皮に近い部分まで一緒に挽き込んでいるため、ミネラル(栄養素)が豊富で、少しグレーがかった風味豊かな粉になります。
今回の内容は、ドイツの現地で製菓・製パンを専門的に学んだ際に使用していた、お気に入りの教科書(Das Konditorbuch in Lernfeldern)をベースに書いています。

よくある質問 Q&A
- Q日本のパンのレシピにある「強力粉」を使いたいときは、ドイツの「Type 550」と「Type 1050」のどちらを選べばいいですか?
- A
日本風のふんわり、もっちりした食パンや菓子パンを焼きたいときは、「Type 550(中力粉)」を選ぶのが一番おすすめです!
ドイツの粉は日本とグルテンの性質が少し異なるため、数字上は強力粉に近い「Type 1050」を100%使って日本の食パンレシピを焼くと、ズッシリと重く、あまり膨らまないハード系のパンになってしまいます。まずは扱いやすく軽い仕上がりになる550番から試してみてくださいね。
- Qお菓子作りのレシピで「薄力粉」と指定されている場合、ドイツの「Type 405」をそのまま使っても日本のケーキのようにフワフワになりますか?
- A
ドイツの「Type 405」は日本の薄力粉に一番近い存在ですが、実は日本の薄力粉に比べると、ほんの少しだけグルテン(たんぱく質)が多く含まれています。
そのため、スポンジケーキなどを焼くときに少し目の詰まった重い仕上がりになりやすい傾向があります。もし日本のケーキのようなフワフワ感を出したいときは、「Type 405」の分量のうち10〜20%をコーンスターチ(Speisestärke)に置き換えると、グルテン量が抑えられてしっとりフワフワに焼き上がります。
- Qオーストリアの小麦粉には「W480」や「W700」と書かれています。ドイツの「Type 405」や「Type 550」と同じように使っても大丈夫ですか?
- A
同じドイツ語圏でも、オーストリアの小麦粉は、ドイツの「Type」の代わりに、小麦(Weizen)の頭文字である「W」に数字を組み合わせた独自の表記をしています。
基本的なミネラル量(灰分)の基準がドイツと非常に近いため、以下のように対応させてそのまま日本のレシピやドイツのパン作りに置き換えて使っても大丈夫です!
オーストリアの「W480」 = ドイツのType 405 (お菓子や薄力粉の代わりに)
オーストリアの「W700」 = ドイツのType 550 (日本風のふんわりパンや中力粉の代わりに)
オーストリアの「W1600」 = ドイツのType 1050 (ハード系のパンに)
ちなみにオーストリアの粉は、さらに粒の細かさによって「Glatt(細挽き・お菓子用)」や「Griffig(粗挽き・パスタやダンプリング用)」といった親切な表記が最初から袋にデザインされていることが多いのも特徴です。
まとめ:作りたいレシピに合わせて、粉の相棒を選ぼう
今回はドイツの小麦粉に書かれた「番号」の秘密についてご紹介しました。
一番大切なのは、作りたいレシピやお菓子の種類に合わせて、粉の番号をきちんと使い分けることです。
「405は繊細なお菓子、550はふんわりパン、1050は本格ハード系」と覚えておくだけで、ドイツのスーパーでの粉選びが一気にラクになり、おうちでのパン作りがもっと楽しく、失敗しなくなりますよ!
ぜひ、あなたのキッチンで最高の焼き上がりを楽しんでみてくださいね😊
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コメント
はじめまして
スイス在住28年、毎日のように台所に立ち、粉を使って色々作っている者です。
セルク型をドイツ語で何というのかを調べていたところ、この興味深いブログにたどりつきました。
ブログはとても丁寧にわかりやすく、日常の生活にも参考になることが書かれていて、普段は寝る時間なのですが、楽しくてついつい色々なページを読んでしまいました。楽しいブログをありがとうございます。また明日ブログを読ませていただきます。
このブログを読み、長年知りたかったドイツの粉の番号の意味が分かり、嬉しくて思わずコメントをしてしまいました。これから少しずつ3年半近くすでに投稿されているこのブログを読むのが楽しみです。ありごうございます。長文失礼しました。
はじめまして、コメントありがとうございます!僕たちのブログがお役に立ててうれしいです。最近はなかなか更新できない日が続いていますが、ぜひたまに覗いてみてください。
こんにちは。
インスタグラムで知り合ったミュンヘン在住のドイツの方(@moenchen_in_se_kitchen)にいろいろなパンのレシピを教えてもらい、またドイツで(あるいはインスタで?)著名なパン職人を紹介したりしてもらってます。
そんな中ジャガイモパンに興味が湧き、ドイツ語で書かれたレシピをチェックし翻訳してもなかなか実際がどういう工程なのかつかめないでいました。そこで別途ジャガイモパンで検索したところ、こちらでアップされているyoutube動画にたどり着きました。
以来このパンは結構作ってきていますが、なかなか上達しませんが好きなパンです。
小さな畑で野菜も作っていて、ジャガイモはまあまあ収穫出来ています。しかしなかなか消費が進まないのでジャガイモレシピを増やそうとしています。これからも記事楽しみにしています。
コメントありがとうございます!家庭菜園素敵ですね😊今後もドイツパンのレシピを更新する予定なので、ぜひ気になるレシピがあったらお試しください!
Motomoneさん、こんにちは。
Youtubeいつも楽しく拝見しています。
私はオーストリアに住んでいます。粉について質問がありコメント欄を拝借しています。
オーストリアにはタイプw480(薄力粉),w700(中力粉)のような区別とは別に粉の粗さでglatt,universal,griffigというのがあります。下記は大手粉屋さんのサイトです。
https://www.finis-feinstes.at/produkte/mehle/
どの粉が何に適しているかが書いてありますが、例えばツォップを焼くときglatt w700とuniversal w480で焼くのとではどのような特徴の違いが考えられますか?
私はずっとglattが薄力粉、universalが中力粉だと思っていたので、universalでパンを焼いていたんですが、w480だと知ったとたんに薄力粉なのに何でパンに使えるんだろう。。と疑問になりました。粉の粗さがたんぱく質量をカバーするのでしょうか?
Motoさんのレシピで作るときも映り込んでいる粉のタイプを見て405だからglatt(薄力粉)ね。って思って使ってましたが、よくよく考えたら我が家のglattはw700(中力粉)でした。。だったらuniversal w480で作ったら方がいいのかしら?
オーストリアに特化した内容で申し訳ないですが、ご教授いただけると幸いです。
これからも美味しいレシピ楽しみにしています。
ご返信が遅くなり本当にごめんなさい💦なぜか新しいコメントが表示されないバグがあったようで、せっかくいただいたご質問に気づくのが遅れてしまいました…本当にすみません!
しかも僕自身、オーストリアの粉事情には正直疎くて…。なので、いただいた情報を基に改めてしっかり調べてみました!
結論から言うと、質問者さんの認識は概ね合っていますし、ツォプフのようなパンを焼くなら、Glatt W700が正解です。
W番号はドイツのType番号と同じで、粉に含まれるミネラル(灰分)の量を示しており、これがタンパク質の量と関連しています。
GlattとUniversalと言う言葉がややこしいですが、W480は日本の薄力粉レベル(低タンパク)です。W700は日本の中力粉〜準強力粉レベル(中〜高タンパク)で、パン作りにはこちらが適しています。
薄力粉で使った場合、パサつきがつよくなったり、ふくらみが弱くなることがあります。なのでぜひGlatt w700で試してみてください!
ちなみに僕のツォップのレシピで、強力粉(Type 1050)と薄力粉(Type 405)を混ぜて紹介したのは、W700やType 550といった準強力粉が手に入りにくい環境での代用としてでした。
混乱させてしまい申し訳ありません。オーストリアで焼く場合は、混ぜる必要はなくW700を使ってOKです!
こんにちは。ご返信ありがとうございます。
色々調べて下さったみたいでお手数をおかけしました。
やはりドイツにはglattやuniversalという区別はないんですね。
ドイツのレシピでたまに(D type405,A W480)のように記載してくれる方がいるんですが、「W480? Glatt?Universal?どっち?」となったり、オーストリアのレシピでもglattとだけ記載がありWについては触れてないこともよくあります。
こちらの方は本当にみなさん自身でパンやケーキを焼くので長年の感覚でわかるのか、それとも細かいことは気にしないのか。。
次回のツォップはglatt W700で試してみます。
そろそろクリスマスクッキーの準備をしようとレシピチェックしていたところに、私の大好きなリンツァーアウゲン!
今年はmotomoneさんのレシピで焼いてみますね!
そうですね、ドイツにはそういう区別はないですね🤔
オーストリアでの経験がないので、なんとも言えませんが、ドイツでも感覚で使う粉を決めている人は多いような気がします笑
ぜひリンツァーアウゲンも試してみてください!このレシピはスパイスを効かせたレシピなので、クリスマスにもぴったりですね😊