ドイツの秋が深まり、11月11日の「聖マルティン祭(Sankt Martin)」が近づくと、パン屋さんの店頭には可愛らしい人形の形をしたパンが並び始めます。それが、今回ご紹介する「ヴェックマン(Weckmann)」です。
このパンが登場すると、ドイツの人々は「いよいよ冬が来て、クリスマスももうすぐだな」と感じる、季節の風物詩でもあります。
今回は、このドイツの伝統的な菓子パン・ヴェックマンの背景にある文化と、お家で楽しめる本格的なレシピを詳しくご紹介します。
聖マルティン祭とヴェックマンとは?
ヴェックマンは、聖マルティン(聖マーティン)をモデルにしたとされる人形型のパンです。なぜ彼がパンになったのか、それにはキリスト教に関連したエピソードがあります。
昔々、兵士だったマルティンが、道端で寒さに震える貧しい物乞いに出会いました。彼は自分のマントを剣で半分に切り裂き、その半分を物乞いに与えました。この慈悲深い行いにより、マルティンは後に司教となり、聖人として称えられるようになります。
この「分かち合い」のエピソードを記念し、マルティンをモデルにしたパンが作られ、ドイツ全土に広がったと言われています。ヴェックマンが時折持っている素焼きのパイプは、司教の持つ杖をイメージしているそうです。
ドイツの幼稚園などでは、このお話を劇にして演じることもあり、日本でいう「桃太郎」のような、誰もが知る昔話として親しまれています。
11月11日の聖マルティン祭当日には、子どもたちが手作りのランタンを手に、マルティンの歌を歌いながら街を練り歩く、美しいお祭りが開かれます。

人形型のパンなので、初めて見たときはちょっと不気味で、正直シュールに思えました…でも昔から伝わる伝統的なデザインやレシピを、現在まで大切に引き継いでいるのは、ドイツ・ヨーロッパらしくて良いなと思います!
味はドイツパンにしては珍しく柔らかい、甘い菓子パンでとても食べやすいです!これは日本人の口にも合うかなと思ったのと、ドイツ文化をご紹介したかったので、レシピ動画を作ってみました!
聖マルティン祭に関してはこちらでももっと詳しくまとめています!
レシピ動画
Youtube<motomone baking>にてレシピ動画を公開しています。ぜひご参考くだい。
皆さまのコメント、ご質問、レシピのリクエスト、チャンネル登録、お待ちしております。
材料
6個分
| 250g | 準強力粉または中力粉※ |
| 35g | グラニュー糖 |
| 少々 | バニラオイル |
| 5g | ドライイースト |
| 120ml | 牛乳 |
| 1/2個もしくは25g | 卵 |
| ひとつまみ | 塩 |
| 30g | 無塩バター |
| 少量 | 卵(生地に塗る用) |
| 少量(飾り用) | チョコレート もしくはレーズン |
※薄力粉と強力粉を1:1でブレンドし使用してもOK
オススメの道具
このレシピで使用したもの、オススメの道具は以下のAmazonリンクから購入できます。
ポケットスケール:塩やドライイーストなど、数gのものをきちんと量るのに便利です
麺棒(短いタイプ):ヴェックマンのような成形にぴったりの短い綿棒です

スケッパー:意外とスケッパーも形により使いやすさが違います。これは使いやすそうです。
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ヴェックマンの作り方
1.生地作り
- 準強力粉(劉力子)、グラニュー糖、ドライイーストをボウルに加えて、ゴムベラで混ぜる
- 溶き卵半分(25g)を加えて、ゴムベラで混ぜる
残りは最後仕上げの際に使用するので、とっておきましょう! - 牛乳、バニラオイルを加えて更に混ぜる
- 塩、無塩バターを加えて、ひとかたまりになるまで手で混ぜる
- 大体生地がまとまってきたら、台で手ごね7分行う
右ななめ上、左ななめ上とV字型にこねることで、力もこめやすくなります

生地を引き延ばして戻すを繰り返すと生地にツヤが出てくる

- 生地を数回台にうちつけながら、V字型にこねる、生地を引きのばして戻す作業を繰り返す
生地を薄く伸ばして簡単に切れなければOK
- 表面がツルンとなり、割れ目ができないように気を付けながら、生地を引っ張るようにして丸める

- 布巾をかけて30分発酵させる
参考…室温23℃ 湿度54%
ここまでの工程はホームベーカリーのパン生地用・一次発酵までのコースで対応可能です
2.成形
- 真上からグーで生地をつぶし、空気を抜く
- 生地をある程度丸めたら、75gずつ生地を6等分する
- 余った生地は均等になるよう、振り分ける
- 手を軽く曲げ、生地を台に押しつけながら、くるくる回すようにして生地を丸める


- 布巾をかけて10分ほど生地を休ませる
- 15㎝くらいの棒状に伸ばす

- 人差し指で首になる部分を押さえながら転がすと頭の部分ができる

- 首の部分ができたら麺棒で生地を平たくする(厚さおよそ1㎝未満)
- スケッパーやナイフなどで手と足の部分ができるよう切り込みを入れる
ぜひお好きな形で作ってみてください! - パイプがある場合は好きなようにくっつけ、腕の形など整える
合計6個作る

パイプは日本だと手に入らない飾りつけだと思うので、省略可能です。ドイツでもお店によっては、パイプを持っていないヴェックマンも、よく見かけます!

- チョコレートチップを使って目や服のボタンを作る
レーズンを代わりに使用してもOK! - クッキングシートを敷いた天板にパンを並べ、20分発酵させる

- パン全体に残った卵を使って、刷毛で塗る
- 12分から14分程度、焼き色を見ながら焼く

ヴェックマンを可愛く仕上げるコツ・アレンジ
- 顔の表情 ドイツで売られているヴェックマンは、目がついているだけのシンプルな顔が一般的です。少し物足りない場合は、粗熱が取れた後にチョコペンで口などを描くと、愛らしい表情になります。
- ドイツ風アレンジ 現地では、焼き上がりにアプリコットジャムを塗ってツヤを出したり、アイシングやアーモンドスライスで飾り付けをしたりするタイプもあります。お好みでアレンジしてみてください。
聖マルティンの「分かち合い」の精神が込められた、優しく甘いパン「ヴェックマン」。このパンを見かけるようになると、ドイツは本格的な冬支度を始めます。
人形の形作りは、お子さんと一緒に粘土遊びのように楽しむのもおすすめです。ぜひ、この伝統的なドイツの菓子パンで、心温まるひとときをお過ごしください。

コメント
こんにちは。今は日本住まいです。20年以上前にケルンに夫の留学について行きました。子供が3ヶ月前でそれでもそーっと連れていきました。懐かしいですね。キンダーグルッペに入ってよく教会にいました。食べるもの以外興味があってもなかなか直結せずで1年半はいたでしょうか。懐かしい食べ物が色々あって嬉しいです。レーズンパンは、息子が大好きでレーズンばっかりほじって食べていてパンクズはよく公園でお世話好きなお姉さんに掃除してもらうのが思い出です。
コメントありがとうございます!僕もケルンに数年住んでいました。ドームが本当に象徴的な、とてもいい街でした😊ドイツ菓子やパンのレシピを多く公開していますので、ぜひ時間のある時にご覧になってください、日本に住んでいても、少しでも作りやすいようにと、材料や量を工夫しています。ぜひお試しください!素敵なクリスマスをお過ごしください😊