イーストは、パンを焼くときに欠かせない材料の一つですね。
でもレシピを見ていると、こういう場面に出会わないでしょうか。
- 「生イースト」と書いてあるのに家にはドライイーストしかない
- 日本語レシピはドライイーストばかりで、生イーストの使い方が分からない

ドイツでは生イーストが使われることが多いので、日本語レシピを作るときにも「代用できる?」と何度も悩みました。
結論から言うと、生イーストとドライイーストは代用できます。
計算もシンプルで、一度覚えてしまえばレシピの幅がぐっと広がります。
この記事では、
- イーストとは何か、天然酵母との違い
- 生イーストとドライイースト(インスタント)の特徴
- 具体的な換算方法(生⇄ドライ)
- よくあるトラブルと対処法
まで、パン作りの現場目線で詳しく解説します。
イーストとは?パン酵母と天然酵母の違い
パンをふわふわにしてくれるイースト。これはそもそも何者なのでしょうか?
パンが膨らむ仕組みはシンプルで、酵母が生地中の糖を食べて炭酸ガスを出すからです。
このガスの力でグルテンの膜が伸び、あのふんわりしたクラムができます。
- 「酵母(イースト)」という言葉は広い意味での微生物の一種
- パン作りに使うのは、その中からパンに適した株を選んで培養した「パン酵母」
- ドイツ語では Hefe(ヘーフェ) と呼ばれます
天然酵母とイーストの違い
パン酵母は大きく分けて、
- 天然酵母(レーズン酵母・ルヴァン・サワードウなど)
- イースト(商業酵母)
天然酵母は、フルーツや穀物・空気中の酵母を自然に増やして起こすもの。
ドイツパンに欠かせないサワードウ(sauerteig)も、このカテゴリーですね。
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一方、イーストは「パンにとって扱いやすい酵母だけを人工的に集めて培養したもの」です。
果物や穀物などの自然な材料にいる酵母の中から、発酵力が安定していて扱いやすい株だけを選び、工場で大量培養したものが市販のイーストです。
生イーストの特徴|香り・発酵力・使い方

生イーストとは?
生イーストは、培養したパン酵母を水洗い・水切りし、プレスして固めたものです。
ドイツではスーパーの冷蔵コーナーに並んでいて、ベージュ〜黄土色の四角いブロック状。触ると少し粘土のような感触です。
生イーストのメリット
欠点は、賞味期限の短さです。
冷蔵で1〜2週間が目安で、鮮度が落ちると発酵力も落ちます。
予備発酵のやり方
生イーストは、そのまま生地に混ぜても膨らみますが、予備発酵をしてから使うと失敗が減ります。
基本の手順:
- レシピの水分(牛乳や水)の一部(全量の半分程度)を、人肌より少し温かい程度(30〜35℃)に温める
- 砂糖をひとつまみ加える
- 生イーストを崩し入れてよく混ぜる
- 10〜20分置き、表面に細かい泡がたくさん出てきたらOK
その後は、予備発酵した液体を他の材料と一緒に混ぜるだけで大丈夫です。
ドイツの生イーストを使うレシピには、このステップが最初から組み込まれていることが多いです。
生イーストの保存方法
冷凍する場合:
- よく使う量(例:10〜20g)に小分けしてラップで包み、密閉袋に入れて冷凍
- 使うときは冷蔵庫でゆっくり解凍し、発酵力が不安なときは予備発酵でチェックする
ドライイーストの特徴|初心者向けで扱いやすい

ドライイーストとは?
ドライイーストは、パン酵母を乾燥させたパウダー状のイーストです。
色は生イーストと同じくベージュ〜黄土色で、さらさらした顆粒になっています。
ドライイーストには、
- 通常のドライイースト(予備発酵が必要なタイプ)
- インスタントドライイースト(予備発酵不要)
ドイツで一般的に売られている小さな袋入りのドライイーストは、日本でいうインスタントドライイーストに相当します。
この記事で「ドライイースト」と書いているのは、基本的にこのインスタントタイプを指します。
ドライイーストのメリット
- 室温保存でき、賞味期限が長い(未開封なら数カ月〜1年)
- 予備発酵なしで、そのまま粉に混ぜて使える
- 初心者でも扱いやすく、発酵の状態も安定しやすい
motomone bakingのレシピでは基本的にインスタントドライイーストを使っています。
なぜなら、
- 日本では生イーストが手に入りにくい
- 少量のパンを焼く家庭では、1回で生イーストを使い切れないことが多い
からです。
日本でよく使われる「赤サフ」「金サフ」とは?
日本で市販されているドライイーストの中でも、よく名前が挙がるのがフランス・ルサッフル社の「サフ インスタントドライイースト」シリーズです。
パッケージの色で呼び名が分かれていて、
- 赤サフ(インスタントドライイースト赤):
- 砂糖0〜12%程度までの低糖〜中糖生地向け。フランスパンや食パン、フォカッチャなど、日常のパン作り全般に使いやすいタイプです。
- 金サフ(インスタントドライイースト金):
- 砂糖5%以上の高糖生地向けの「耐糖性」イースト。ブリオッシュや菓子パンなど、砂糖が多い生地でも発酵力が落ちにくいよう設計されています。
どちらもインスタントドライイーストなので予備発酵は不要で、そのまま粉に混ぜて使えます。
「どれを1つ買えばいいか迷う」という場合は、砂糖の少ないドイツパンや食パンをよく焼くなら赤サフ、菓子パンやブリオッシュをよく焼くなら金サフ、と覚えておくと選びやすいと思います。
生イーストとドライイーストは代用できる?換算の目安
結論:生イーストとドライイーストは代用可能
生イーストが家にない、ドライイーストが切れていた——どちらの場合も、代用は可能です。
換算の目安は、次の通りです。
- 生イースト → ドライイースト(インスタント):
生イーストの約1/3量のドライイースト - ドライイースト(インスタント) → 生イースト:
ドライイーストの約3倍量の生イースト
例:
レシピに「生イースト 15g」と書いてあれば、ドライイーストは約5g。
レシピに「ドライイースト 5g」と書いてあれば、生イーストは約15gです。
生イースト⇄ドライイーストの換算ツールも用意してあります。
数字を入力してイーストの種類を選ぶだけで、自動で換算できます。
生イースト⇄ドライイースト換算ツール
換算結果: ー g
換算早見表(目安)
| レシピに書かれている | 代用するイースト | 目安の量 |
|---|---|---|
| 生イースト 6g | ドライイースト | 約2g |
| 生イースト 15g | ドライイースト | 約5g |
| 生イースト 30g | ドライイースト | 約10g |
| ドライイースト 2g | 生イースト | 約6g |
| ドライイースト 5g | 生イースト | 約15g |
| ドライイースト 7g | 生イースト | 約21g |
※生地量やレシピの設計によって多少前後しても、家庭用オーブンで焼く分には大きな問題にはなりません。
なぜドイツの生イーストはいつも42g?

ドイツのスーパーで売られている生イーストは、メーカーに関わらずほとんどが1個42gで統一されています。

「なんだか中途半端な数字だな」と感じますが、これには理由があります。
まだスーパーがなかった時代、生イーストはパン屋さんが業務用の大きな塊(約500g)で仕入れていました。
家庭で使い切れるようにするため、この500gを12等分して量り売りしていたのが始まりです。
500 ÷ 12 = 約41.66…g なので、四捨五入して42g。これが現在まで続いていると言われています。
42gの生イーストがあれば、パンの種類にもよりますが、小麦粉500〜1000gを使ったパンを焼くのに十分な量です。ドイツでは家庭でもこのくらいの量を一度に焼くことが多く、「ちょうどいいサイズ」として今も42gで販売されている、というわけです。
日本の家庭では、500〜1000gの小麦粉を一度に使う機会はそれほど多くないかもしれませんが、ドイツでは「大きなパンをどん、と焼く」文化がまだ身近に残っています。
よくある質問Q&A
- Q生イーストとドライイーストで味や食感は変わる?
- A
変わります。
- 生イースト:発酵力が強く、イースト臭が少ない。ふんわりしながらも、しっとりした食感になりやすい
- ドライイースト:扱いやすい一方で、条件次第では発酵臭が出やすいことがあります
ただし、家庭用オーブンで焼くレベルであれば、
- 発酵時間の取り方
- 生地温度
- 焼成温度
といった要素の方が、仕上がりへの影響は大きいです。
- Q生イーストは冷凍保存できる?
- A
冷凍可能です。
- 小分けにしてラップで包み、密閉袋に入れて冷凍庫の奥で保存
- 目安として1カ月程度なら、実験上は発酵力が残っているという報告が多いです
ただし、時間が経つほど発酵力は落ちるので、
- 冷凍したものを使うときは、予備発酵で泡立ちを必ず確認
- いつもより少し長めに発酵時間を取る
といった調整をおすすめします。
- Q生イーストとドライイーストで水分量は変えた方がいい?
- A
厳密に言うと、生イーストには水分が含まれていて、ドライイーストは乾燥しているため、配合上の水分量はわずかに変わります。
家庭用レベルでは、
- まずはレシピ通りに仕込み、
- 最後に生地の触り心地を見ながら、水を5〜10g程度増減して微調整
というやり方で十分です。
- Qイーストの発酵がうまくいかない原因は?
- A
主な原因は次の通りです。
- 仕込み水の温度が高すぎる(40℃以上で酵母が弱る)
- 砂糖が極端に少なすぎる/多すぎる
- 発酵温度が低すぎて酵母が動けていない
- 塩とイーストを直接触れさせてしまった
発酵が止まってしまったかな、と思ったら、まずは
- 生地温度(理想は26〜28℃前後)
- ボウルの置き場所(冷気や直風が当たっていないか)
を見直してみてください。
- Qドライイーストとインスタントドライイーストの違いは?
- A
市販の乾燥酵母は、大きく「ドライイースト(活性ドライイースト)」と「インスタントドライイースト」の2種類があります。
- ドライイースト(活性ドライイースト)
- 粒がやや大きく、そのまま粉に混ぜても溶け残りやすい
- ぬるま湯と砂糖で予備発酵が必須
- 海外レシピで「active dry yeast」と書かれているのは、こちらを指すことが多いです
- インスタントドライイースト
- 粒が細かく、そのまま粉に混ぜて使えるように加工されている
- 基本的に予備発酵は不要(粉と一緒に混ぜてOK)
- 日本のスーパーや製菓材料店で売られている「赤サフ」「金サフ」などは、このインスタントタイプです
このブログで「ドライイースト」と書いている場合は、特に断りがない限りインスタントドライイーストを指しています。
- ドライイースト(活性ドライイースト)
まとめ|どちらのイーストを使うべき?
- 生イースト
- 香りが軽く、発酵力が強い
- 日持ちしないため、ドイツのように「一度に大きなパンを焼く文化」と相性が良い
- ドライイースト(インスタント)
- 室温保存でき、長く使える
- 予備発酵不要で、そのまま粉に混ぜてOK
- 日本の家庭でパンを焼くなら、まずはこちらがおすすめ
日本では生イーストが手に入りにくいので、ブログやYoutubeで紹介しているレシピは基本的にインスタントドライイーストで書いています。
一方、ドイツでは生イースト42gのブロックが15セント前後(約20円)と、とても安く手に入ります。500〜1000gの小麦粉を一度に使うドイツ式のパン作りには、ちょうど良いサイズなんですね。
この記事の換算方法を知っておけば、
- ドイツ語レシピで「生イースト」と書かれていても、手元のドライイーストで焼ける
- 日本語レシピを、生イーストで試してみることもできる
ようになります。
「一度、生イーストで焼いてみたい」と感じたら、ぜひこの記事を踏み台にして、あなたのオーブンでもドイツのパン屋に近い風味を試してみてください。

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